ミラーニューロン

ミラーニューロン(mirror neuron)は、主に他者の行動や動作を観察することによって活性化される神経細胞のことを指します。ミラーニューロンは、他者の行動を自分自身が行っているかのように内部的にシミュレートする役割を果たすと考えられています。

ミラーニューロンは、初めてイタリアのパルマ大学の研究者によって猿の脳で発見され、その後人間の脳でも存在することが示されました。これらの神経細胞は、視覚的に他者の行動を観察したり、聴覚的に他者の音声を聞いたりすることで活性化されます。

ミラーニューロンの活性化は、他者の行動や意図を理解し、感情や意味を共有するための重要な役割を果たしています。例えば、他人が笑っている姿を見たときに、自分自身も笑顔が浮かぶことがあります。これは、ミラーニューロンが他人の笑顔をシミュレートし、自分自身の感情を共有するために関与していると考えられています。

ミラーニューロンは、他人との共感や思いやりの形成、社会的な学習や模倣行動、コミュニケーションの助けとなるとされています。また、ミラーニューロンの異常な機能や発達の問題は、自閉症スペクトラム障害などの神経発達疾患に関連しているとされています。

ミラーニューロンの発見は、他者との関わりや社会的な結びつきの理解において重要な役割を果たしており、人間の行動や社会的な相互作用の研究においても注目を浴びています。